1)求人票の数は過去最高を更新
本校がある東京都ならびに周辺近県においては、待機児童問題の影響で保育士の人材不足が問題視されています。そのため保育園からの求人票の数が過去最高を更新しました。また、幼稚園や児童養護施設や学童施設からの求人票の数も増加しております。
2)就職希望者は100%就職-保育園への就職が増加し、幼稚園・施設への就職は減少-
今年も就職を希望していた卒業生全員が就職先を決めることができました。卒業生一人ひとりがどこに就職したいのかという希望が最も優先されるので、就職先の傾向はその年によって変動します。ここ数年幼稚園への就職者数が増加していましたが、今年は20%を切るまでに減少しました。また、施設も10%を切りました。それに代わり保育園への就職者の割合が70%を越え、保育園への就職希望者が大変多い年になりました。
3)就職活動の期間は平均1ヶ月弱と短期決戦‼そして、ほぼ12月までに決まる
一般的な企業への就職活動の場合、2016年度は3月に就職活動が解禁となり、夏までに内定をもらうというのが普通で、内定を得るまで半年ぐらいかかるわけです。しかし、幼児教育の業界では10月~12月にかけてが就職活動のピークとなり、学生一人が就職活動にあてる期間は1ヶ月ぐらいなので「短期決戦」と言えるかもしれません。
4)2016年度の卒業生は「安定」志向?!
保育園に就職した人が多かったのですが、具体的にどういう保育園に就職しているのかという傾向を探ると「安定」志向だったと言えるかもしれません。 まず公立の保育園や、公立に準じる社会福祉事業団(渋谷区や三鷹市)に就職した人が多かったです。公立の場合は、採用試験に専門科目や一般教養などの筆記試験があったりするなど難しい場合が多いのですが、事業団の場合は公立より若干難易度を下げた採用試験が行われています。 そして昨年は株式会社に就職した人が保育園就職者の30%近くを占めていましたが、今年は17%と減少し、社会福祉法人への就職者数が58%になりました。社会福祉法人は、株式会社と比較すると歴史が長いところが多く、その結果、地域と良好な関係を築いている点などが安定志向の卒業生には魅力的だったのかもしれません。
5)地域別就職状況-東京、特に多摩地域が多いのが特徴-
ほとんどの卒業生が現在住んでいるところから1時間以内に通勤できる範囲内に就職しています。本校の学生の多くが中央線を利用していることもあり、今年に限らずこれまでも東京市部の就職の強いのが特徴と言えます。
23区…杉並区(11名)、世田谷区(4名)、目黒区(3名)など
東京市部…三鷹市(12名)、八王子市(8名)、東村山市(5名)など
また、関東近県あるいは地方出身者が地元に帰って就職を希望する場合も、これまでの就職の実績や、地域の実態を踏まえ早い時期から一人ひとりと相談しながら就職活動を進めています。
6)保育園への就職が増えた背景
本校では卒業と同時に幼稚園と保育園で勤めるための資格を取得できるので、就職先としていろいろな可能性が広がっています。そのような状況の中で2016年度は保育園への就職者数が増加した理由としていくつかの事が考えられます。 「安定」志向だったこともあり、採用試験でピアノをはじめとする実技や筆記試験などを行うところが多い幼稚園を挑戦するよりも、人物重視で採用試験も面接だけのところがあったりする保育園を希望した人が多かったかもしれません。 しかし、一番目立ったのは待機児童問題と共によく話題にされた保育士の給与の低さなどが改善されたことだと考えます。求人票を見ますと、前年度よりも家賃補助制度が広まり、給料も高くなっている保育園がほとんどでした。保育士支援の内容は各自治体により違いがあります。
《例・船橋市の場合…3つの支援》
①ふなばし手当の支給…給与の上乗せとして月額 32,110円、期末手当71,460円(合計年額456,780円)の手当
②家賃補助…保育士のために宿舎を借り上げた場合に家賃の一部を補助(一戸あたり月額82,000円まで)
③修学資金の貸付…指定保育士養成施設在学中の修学資金として月額30,000円を貸し付け、卒業後に船橋市内の保育園などで、修学期間以上勤務すると貸付金の返還が全額免除
修学資金の貸し付けなどは、就職後のことというより在学中と関連してくるので、就職先を保育園にするか幼稚園にするかの決定を早めにする必要が今後出てくるかもしれません。保育士の資格をとりたい本校の学生にとってはこのような奨学金制度は大変ありがたいことなので、是非活用していただきたいです。