【2021年度卒業式】校長メッセージ(卒業式式辞)

アクセス

MENU CLOSE

【2021年度卒業式】校長メッセージ(卒業式式辞)


2022年卒業式式辞   “コンパッション”

 

ここ2年以上続く新型コロナウイルス感染症の流行は、間違いなく世界史に書き残されるパンデミックの世界的大災禍です。
皆様はこの災禍に翻弄されストレスや心労が少なくない中、互いに支え合い、レジリエンスを発揮して、粘り強く保育の学びを続けられました。
努力された皆様を大変誇りに思います。
この努力が結実して、本日のご卒業となりました。本当に、本当におめでとうございます。

 

新型コロナ流行の第5波と第6波の間の静穏期に、学生会の主導で分散開催された聖心スポーツ祭は、皆様が楽しく交流し絆を深める絶好の機会となりました。
玉入れ遊びでは何と85個対85個で同点となる奇跡的なゲームがありました。
また、ソフトバスケットボールでは同点となり、延長戦でも再延長戦でも同点で、結局全員総出のジャンケンとなるなど大変な盛り上がりでした。
これは皆様の潜在意識になっている思いやりの精神コンパッションが発露した結果ではないかと感じた次第です。

 

就職を希望された方は全員、良い就職先を決められました。
キャリアーセンター長原田和明先生の”決意” と ”覚悟” をもって取り組みましょう!という励ましや、思いやりのある諸先生方のご指導のもとで、皆様が真剣に努力された結果です。
大変おめでとうございます。非認知能力ばかりでなく、認知能力が特別に試される難関の公務員採用試験の対策にも、早くから取り組まれ、公務員と準公務員の合格者がそれぞれ二桁になった事には驚きました。
私立公立を問わず、それぞれ特徴がある多様な保育現場はすべて重要です。
保育は、華々しく派手な職業とは対極にあり、日々子どもたちの命と健康を守り、寄り添い、話し掛け、お世話し、指導する、どちらかと言えば地味な ケアと教育の仕事です。

 

新型コロナの流行は私たちにとって悪い事ばかりではありませんでした。
今更ながらですが、保育の仕事が社会に必要不可欠な仕事エッセンシャルワークであると認知されました。
改めて、保育士と幼稚園教諭が評価され尊敬され、それにふさわしい待遇が必要であるという社会的コンセンサスが形成されました。
政府が保育士と幼稚園教諭の給与をあげる支援策を発表した事は皆様よくご存知の通りです。ありがたいことです。

 

本校の保育教職実践演習は大学の卒業研究に相当します。
皆様はグループで研究した結果をパワーポイントで大変わかりやすく発表されました。
保育者の離職率が高い原因についての研究発表では、原因の第一は人間関係、第二は待遇でした。
待遇改善に関しては、先ほど述べましたように、政府の支援が始まります。
公助のさらなる強化を期待したいですね。
人間関係については公助任せにはできません。
思いやりの精神で周りの人を感化し、思いやりのある仲間を増やす 自助・共助 が欠かせません。
また、コウジョはコウジョでも学校の校助が必要な時には遠慮なく母校に相談に来てください。
別の発表では、「カトリックのマザー・テレサの ”大きな愛で小さなことを行う生き方” を保育で実践します!」と 頼もしい決意表明をされた方がいらっしゃいました。

 

ローマ教皇フランシスコは、昨年のクリスマスミサで、新型コロナの流行が続いている状況を念頭に、「私たちは人生の小さなことを見直し、大事にすることを求められています。日常生活の小さなことを大切にしましょう!」と 呼び掛けられました。
保育者一人一人の日々の活動は、小さなこと、小さな水滴かもしれませんが、集まれば大海となり大波となって、社会を変えることができます。
今、世の中は、エコノミーの”エコ”や、エコロジーの”エコ”などのエコ流行りです。
エコロジーとは元々生態学という意味ですが、最近は、環境保全や環境に負荷をかけないという意味で用いられます。
カトリックの聖フランシスコのエコロジーはもっと次元が高く、神、自然、万物、他者、特に助けを必要とする人々と自分自身との間で全体的かつ総合的に調和が取れているという意味で使われます。
西欧諸国の主導で、わが国でも盛んになってきている、NPO(非営利活動)、SDGs(持続可能開発目標)、ESD (持続可能な開発のための教育)、ESG(環境社会投資)などの活動は、この聖フランシスコのエコロジーがもとになっていると思われます。

 

しかしながら、この活動を促進するために、考えに合わない物や人や組織を排除するネガティブキャンペーンさえも行われています。
私は根本的でポジティブなキャンペーンが最も重要であると考えます。
それは、思いやりのある人を育てる 教育の強化です。
”三つ子の魂百まで” と 言われています。思いやりのある子どもを育てるのが一番です。
その役割を担うのは、まさに子ども達のお手本になる皆様のような思いやりのある保育者です。
皆様のご活躍をお祈りいたします。

 

今年も多くの皆様が成人式を迎えられました。
重ねておめでとうございます。
昨年12月には、天皇皇后両陛下の長女、敬宮愛子様が成年を迎えられ、お言葉を発信されました。
その中の一文をご紹介しましょう。
「日頃から思いやりと感謝の気持ちを忘れず、小さな喜びを大切にしながら自分を磨き、人の役に立つことのできる大人に成長できますよう、一歩一歩進んでまいりたいと思います。」

 

この愛子様の文には、東京保育専門学校が大事にするカトリックの精神が含まれていますし、指導大学お茶の水女子大学の校歌で歌われている “みがかずば” の精神も含まれています。
さらに、愛子様は、成人したら即、完璧な大人であるとはお考えでなく、より良い大人になるために地道な努力を続けるご決意であることが明白です。
私のような老人を含めて、私達を代表して決意表明して下さったように感じられます。
ということで、これを結びの言葉にいたしましょう。
「日ごろから、思いやりと感謝の気持ちを忘れず、小さな喜びを大切にしながら、自分を磨き、人の役に立つことのできる大人、思いやりのある子どもを育てることのできる真の保育者に成長できるよう、一歩一歩進んでまいりましょう!」

 

それでは、いってらっしゃい!

 

松本勲武

 

NPO:Non-Profit Organization(非営利活動法人)
SDGs: Sustainable Development Goals(持続可能開発目標)
ESD:Education for Sustainable Development(持続可能な開発のための教育)
ESG: Environment Social Governance(環境社会投資)

聖心便りトップへ戻る

東京保育専門学校とつながろう!

TOKYO Junior College Of Nurtures

資料請求・お問い合わせ・学校見学はお気軽にどうぞ

オープンキャンパス

資料請求・お問い合わせ

お電話でのお問い合わせはこちら

03-3311-7014

受付時間(平日 9:00~17:00)

ページトップへ戻る