【2022年度卒業式】校長メッセージ(卒業式式辞)

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【2022年度卒業式】校長メッセージ(卒業式式辞)

2022年度 卒業式 校長メッセージ 「健康」 

 

ご卒業、誠におめでとうございます。

 

皆様は、長く続く新型コロナウイルス感染症の世界的流行、いわゆるパンデミックの真只中でも、しっかりと感染対策をとりながら、一歩一歩、粘り強く保育の学びを続けられました。そして、制約のある中でも教育実習、保育実習、施設実習などの実習をとおして保育現場での経験知を確実に深められました。また、学業だけではなく、学費や生活費を確保するためのアルバイトに関しても、コロナ禍の影響を受けて大変苦労されたことと思います。しかしながら、皆様は、自制心や望む力、諦めない心、努力する力などを総合した非認知能力であるレジリエンス(・・・・・)を遺憾なく発揮され、すべての課題を克服されました。

 

改めて振り返ってみると、大変な事だけではなく、楽しいことがたくさんありましたね! 注意深く分散して開催された聖心祭などの催しでは、楽しく交流を深め、単なる息抜き以上の大変中身のある成果をあげられました。学生会が収録した、聖心祭のオープニングの動画は、録画も編集もプロ級の出来栄えです。スポーツイベントでは、玉入れにドッヂボールとフレンドリーながら時に白熱したゲームが続き、楽しい笑い声と歓声がホールに響きわたっていました。逃げ回っていた私がドッヂボールの直撃を受けてパーンという大きな音が響いた後、一瞬会場がフリーズした事を覚えています。見事な一本でした。またホールでの発表や教室での発表、ビデオでの発表は、どれも趣向をこらした楽しいものばかりでした。2部生の準備した「かわいいボックスめがけてボールを投げ入れる」ゲームでは、遠い位置からボールを投げ入れるのは難しく、難しいがゆえに何度も何度もチャレンジする姿も見られました。ゲームを楽しむ子ども達の微笑ましい様子を見て、保育の醍醐味の一端を垣間見ることのできたのではないでしょうか!

 

私たちは、コロナ禍の中で、健康の大切さを思い知らされました。最近の科学的研究調査の結果から、健康のためには『歩くことと、リンを多く含む食べ物をとりすぎないことが非常に大事である』という事がわかってきました。これを詳しく説明するために用意した原稿は長すぎて、教養特別講座の授業のようになってしまうので、ここでは『リンは万病のもとですよ!』というメッセージだけに止めます。興味のある方は、学校のHPをご覧ください。

 

今日のめでたい卒業式は、新しい保育の先生の門出の式でもあります。この出発点に立てた事を誇りに思い、どうかご自分を褒めてあげてください。
はなむけの言葉のしめ(・・)は、晴佐久昌英神父様のお言葉です。『保育は、子どもたちの心と体を守り育て、愛される安らぎと愛する喜びを体験させる、何にもまして尊い仕事です』という教えです。このような保育の心と使命感を持つ事こそが、皆様の心の健康のもとになります。このことを忘れず皆様が心身ともに健やかに保育の仕事を続けられることを、教職員一同、心から願っています。
それではいってらっしゃい!

 

 

松本 勲武

 

〈参考〉

 

私たちは、コロナ禍の中で、健康の大切さを思い知らされました。基礎疾患のないようにしたいものです。昔から、健康を良好に保つためには、食事は腹八分目、よく体を動かし、日に当たり、よく寝ることだ等と言われていました。最近の科学的研究結果をみても、これらはどうやら本当のようです。いくつかご紹介しましょう!

 

3年前のちょうど今頃、国際的に最も評価の高い医学雑誌であるアメリカ医師会の機関誌JAMAに、歩く事と病気による死亡率との関連を調査した結果が発表されました。8人の博士が、5000人近くの対象者についておよそ10年にわたって追跡調査した結果です。1日の歩数が4000歩の人達を基準にすると、2000歩の人達では総死亡率が51%上昇しますが、6000歩の人達では総死亡率が32%低下します。さらに、8000歩の人達では51%、1万歩の人達では60%、1万2千歩の人達では65%、1万4千歩の人達では66%低下するという結果でした。このように死亡率低下の効果は、年齢を問わず1万歩を超えたあたりから頭打ちになりますが、がんによる死亡の場合は、1万6千歩で69%の低下となり、頭打ちは緩やかです。歩く速度との関連はありませんでした。

 

他の報告では、歩行を含む有酸素運動が、死亡率低下だけではなく、心臓病、高血圧、糖尿病、がん、アルツハイマー症、認知症等の発症を抑える効果や、認知機能の改善や睡眠の質の改善にも効果があるとされています。

では、どうして歩くことが死亡率の低下や病気の予防に関係するのでしょうか?   この答えになると思われる研究成果が報告されています。少し難しいかもしれませんが、大事なことなので、できるだけかみ砕いてご紹介しましょう。

 

自治医科大学の黒尾誠教授が報告された、老化関連遺伝子の研究論文と、昨年出版された「腎臓が寿命を決める」という題の著書には、私にとっては、驚きと同時に目からうろこの新しい知見が書かれていました。

 

腎臓は、血液の成分を一定に保つという地味ですが大変大事な役割をもっています。そしてリンは、私たちの体になくてはならない成分です。重力に耐える丈夫で硬い骨はリン酸カルシウムのおかげです。遺伝子の核酸、高エネルギー化合物のATP等のヌクレオチド、細胞膜の成分であるリン脂質、タンパク質にも含まれています。黒尾教授は、クロトーと名付けられた遺伝子が、血液中の余分なリンを腎臓で尿に排泄するために必要な遺伝子であることを発見しました。そして、この遺伝子を欠く実験動物のマウスは、老化が早く早死にします。この発見から、リンこそが老化を早める物質である事が分かりました。改めて、見直してみると、血液中のリン濃度が低い動物ほど長生きすることも確認されました。食事で取り込まれたリンは、高濃度になると血中ではカルシウムと結合してリン酸カルシウムの微小な結晶となり、これがタンパク質とくっついて、水に溶けないコロイド粒子CPPとなります。CPPは細胞毒でもあり、体中のあちこちで毛細管の石灰化による硬化や、低レベルの非感染性慢性炎症を引き起こし、心臓病、動脈硬化、脳血管障害、糖尿病、がん、認知症などの発症につながっていくと考えられます。

 

細胞毒のCPPは、腎臓で原尿から尿をつくる仕分けを担当している尿細管のネフロンにもダメージを与えます。このネフロンは必要とする数の何倍もの予備が用意されていますが、1度壊れると再生されることはありません。つまり腎機能は一方通行で低下していきます。慢性腎臓病のステージ1から5までのうち、頻尿やむくみ、疲れやすさなどの自覚症状が現れくるのはステージ3ぐらいです。

 

この腎臓病の進行を止める対策の一つは、歩くこと、運動をすることです。骨は、リンの貯蔵場所にもなっています。運動すると、貯蔵場所の骨からリンが家出して骨粗しょう症となることを防げますし、血液中や原尿中の細胞毒CPPが上昇し全身にダメージを与えるのを防ぐことができるのです。

 

もう一つの対策は、リンを含む食べ物を制限することです。リンを多く含む食べ物は、赤身の肉、ベーコン、ソーセージ、プロセスチーズ、それと、リンが含まれている食品添加物を多く含むインスタント食品、ファーストフード等です。私の印象ではおいしく感じて、食べるのが止まらなくなるような食べ物は要注意です。それから、水をよく飲むこともリンの血中濃度を下げることにつながります。トイレに行く暇がないので水を飲まないでいるのは大変まずいです。

 

以上、”よく歩き、万病のもととなるリンを多く含む物を食べすぎず、水をよく飲むこと”が健康を保つ秘訣です。

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